サッポロ 開拓使麦酒仕立て

サッポロ 開拓使麦酒仕立て ・・サッポロビールのこの商品は、スペル間違いから発売中止が発表され、後に一転して、発売を切望する声に応える形で発売中止の決定が取り消しに。2021年2月2日に無事に発売まで漕ぎ着けました。この一連の騒動はビール史に残る稀有な出来事だったと思います。

LAGAR×、LAGER◯、まさかのスペルミス

開拓使麦酒仕立て

ラベルの中の「LAGAR」というひともじ。本来「LAGER」とあるべきスペルが「LAGAR」と謝って印刷されてしまいました。今回の騒動の発端はこれがすべてです。『 サッポロ 開拓使麦酒仕立て 』発売についてのプレスリリースがサッポロビール株式会社から出されたのが2021年1月5日のこと。同年1月12日から全国のファミリーマート約16,300店舗で数量限定で発売されるということがアナウンスされていました。ところが、この直後、スペルミスが発覚。事態を重く見たサッポロビール株式会社は1月8日、発売中止を発表します。

しかし、さらにその後、事態は一変します。発売を切望する声が多数寄せられたことでサッポロビール株式会社は、1月13日に発売中止の決定を取り消すことを正式発表。当初の予定から半月以上遅れた2021年2月2日に『サッポロ 開拓使麦酒仕立て』は全国のファミリーマートの店頭に並べられることになったのです。スペルミスの商品をそのまま発売してしまうことに法的な問題はないのか・・そのあたりのこともしっかり調べながら(問題ないそうです。違う意味の標記になっていたらアウトだったのでしょうが、単なるスペルミスで商品に問題無しという解釈なんでしょうね)、慎重に発売に漕ぎ着けました。

編集者として思うことは・・

私は普段、編集者またはライターとして、書籍の編集や雑誌の記事の制作に携わっています。その中の作業として当然、文字に間違いがないかをチェックする校正の仕事があります。ですので、言ってみれば同業者として、直接こちらの商品の開発に関わった人たちのことを思うと、気の毒で仕方がありませんでした。だから結果的に商品が無駄にならず、はからずも話題になったというおまけもついたので、ホッと胸をなでおろしています。だって自分に置き換えてみると、自分のせいで多量のビールが無駄になったてしまった、なんて事態を考えたら・・恐ろし過ぎます!

大手ビール会社が発売するビールですから、ビールメーカーの関係者、ファミリーマートでの限定販売商品なのでファミリーマートの関係者、たぶん広告代理店関係者、その中に含まれるコピーライターやパッケージデザイナーなどのクリエイター・・たくさんの人たちが関わったはずです。パッケージを含む商品の最終確認も複数で行われたはずで、そんな状況の中、スペルミスのまま商品が完成(スペルミスの発覚時、ビールはすでに缶に入れられた状態)してしまったという事態は、ある意味奇跡的な出来事だったと言えるでしょう。

開拓使麦酒仕立て 、肝心の味は・・どっしり旨し!

サッポロ開拓使麦酒仕立て

さてさて、(たぶん)不本意ながら話題になった『 サッポロ 開拓使麦酒仕立て 』ですが、肝心の味は・・とても美味しかったです! どっしりとしてて、苦味がしっかり効いていて、好みの味でした。個人的にキリンのクラシックラガーが好きなのですが、そういう(味わいは違いますが)昔ながらの硬派なビール、という印象でした。

こちらのビール、日本人によるビール造りの原点と言える「開拓使麦酒醸造所」で用いられていた伝統的な製法を採用しています。この伝統的な製法というのが3回煮沸法と呼ばれるもので、濃厚な麦汁をつくることができます。だから、これだけどっしりとした飲み応えのあるビールになったのでしょうね。

まあ、結論を言うと、ビール好きとしては美味しいビールが無駄にならなくてよかったと、単純に喜んでいます^^