ビール誕生[サッポロビール迷走中の1961年製作ドキュメント短編映画]

ビール誕生オープニング

 

ビールは

人生を明るく豊かにする

健康な飲みものです

このオープニングがビール好きにはグッときます。

 

『ビール誕生』は1954年(昭和29年)に東京シネマによって製作された、純粋にビールの製造過程を紹介している15分のドキュメント短編映画です(YouTubeでは1961年製作となっていますが誤りじゃないかと・・タイトル下に1954と明記されています)。スポンサーは『ニッポンビール』と『サッポロビール』のダブルネーム。ここに当時のサッポロビールの迷走ぶりが垣間見れて、日本のビールの歴史を知る上で興味深い作品です。1954年(昭和29年)全日本PR映画コンクール審査員奨励賞・色彩賞、1955年(昭和30年)プノンペン国際アジア映画祭グランプリ、1955年(昭和30年)シンガポール第2回東南アジア映画祭特別賞を受賞しています。

 

終戦から4年が経った1949年(昭和24年)、過度経済力集中排除法が適用され、当時シェア7割を誇っていた『大日本麦酒』が、『日本麦酒』と『朝日麦酒』に分割されました。『朝日麦酒』(後のアサヒビール)が好調に売上を伸ばす中、『ニッポンビール』という新たな銘柄を掲げて再スタートした『日本麦酒』(後のサッポロビール)は苦戦。そんな背景を受けて1956年(昭和31年)、往年のファンに熱望されていたことで『サッポロビール』の銘柄が復活します。1964年(昭和39年)には会社名を現在の『サッポロビール株式会社』に変更しますが、この映画は『サッポロビール』の銘柄が復活する2年前の1954年(昭和29年)に製作されました。

 

『ニッポンビール』の銘柄が残りつつ、『サッポロビール』の銘柄をプッシュすることを構想として掲げていた頃の作品です。そんな時代背景を思い浮かべながらこの作品を見ると、なかなか興味深いですね^^

 

[映画はこちらからご覧ください]

ビール誕生